風吹く砦 (テレンス・トレント・ダービー) [3/3]
アウトロウ・ミュージックと呼ぶのが行き過ぎならば、その長いタイトルのキー・ワードになっているハードラインという言葉を借りて、ハードライン・ミュージックと呼ぶのが正当で、僕は、テレンスに限らず、そしてカテゴリーに限らず、ハードライン・ミュージックと呼びたくなる音楽に惹かれる性向があると、その時、自覚したようである。
1987年頃、まさに世界中でバブル経済の芽が生まれ出した時で、音楽界も、LPからCDにシフト・チェンジ。
デジタルとマーケティングが最優先の、異なる世界に突入していった。
IQ200前後で、世界の高知能指数者リストにも載っているテレンス・トレント・ダービーは、デビュー作でセンセーショナルな成功を納めるが、案の定、音楽業界と折り合いが悪く、その後、素晴らしいアルバムを何枚も作るが、プロモーションなど助力を得られず、しだいに忘れられていった。
仏教徒になり、サナンダ・マイトルーヤと改名して、2000年にアルバムを発表して以降、僕も詳しい消息は知らない。
でも、テレンスを忘れた日は一日も無い。