音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

魔女たちのジグソーパズル (ディープ・フォレスト)

2010.10.02

 ディープ・フォレスト(Deep Forest)のセカンド・アルバム『ボエム(BOHEME)』に、少なからずショックを受けたのは1995年の春の事だった。

ミッシェル・サンチェーズとエリック・ムーケの二人から成るこのユニットは、ともにフランスのスタジオ・ミュージシャンの熟練したキーボード奏者だったという職人的な面と、世界中の音楽を始めとした文化に精通している文化人的な面も併せ持つ、という点でも共通している良きコンビだ。

もともと、ユニセフに保存されていたピグミー族の伝承歌に魅せられたミッシェルが、これをなんとか世に広く伝えたいと考え、エリックに相談したところ、クラブ・ビートを中心にしたエレクトロニックなサウンドの中にそれらをはめ込む…

つまり、ヒップホップでいうところのサンプリング手法で新しい音楽を作り出すアイデアをエリックが提示。

これが見事に成功し、デビュー作『アフリカン・コーリング』('92年)からは、いまだ長命な人気を誇る名曲「スウィート・ララバイ」等が、二人の狙い通り、世に広く浸透した。

ディープ・フォレスト(Deep Forest)のイメージ1