音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

魔女たちのジグソーパズル (ディープ・フォレスト) [2/3]

 この20年近く前の作品の広告等を見ると“ハウス・サウンドでよみがえるアフリカ5千年の歴史!”というキャッチが多用されており、あるクラブ・ミュージック専門誌では“ピグミー・ディスコ”なる珍語でレビューされている。

この数年前、ドイツのエニグマが「サッドネス」でセンセーションを巻き起こした時、グレゴリオ聖歌とクラブ・ビートとの合体という破天荒なサウンドに対して“グレゴリアン・ディスコ”という形容が堂々とメディアを闊歩した流れだったかもしれない。

 そうした個性的な仰天アイデアの面が注目される反面、エニグマもしかりであったが、ディープ・フォレストも“ヒーリング・ミュージック”や“エコロジー・ミュージック”の範疇に押し込められる事が多くなった。

もちろん「スウィート・ララバイ」に代表される初期の曲には、エコロジーを感じさせる要素も多く、人の心を癒し得るヒーリング効果も豊かだ。

僕も、漠然と、CDショップの棚分け同様に、ディープ・フォレストを、クラブ・ミュージックの変わり種、としてだけのとらえ方で、聴いていたように思う。

ディープ・フォレスト(Deep Forest)のイメージ2