音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Stoned Days(ストーンした日々).Ⅴ :The Rolling Stones (ザ・ローリング・ストーンズ)

2014.06.23

(前回から続く)

2008年に60歳になり、ちょうど暮れ12月の誕生日がFMの生番組の放送日だったので、還暦スペシャルな選曲をやってくれ、と番組ディレクターが何度も言ってくれたので、お言葉に甘える事にした...と言えば、長年のポップス/ロック評論家としてよく頑張ったね、という美談で終わるはずなのだが、実は、そうではない。

瞬間的に頭に浮かんだ選曲は、全てローリング・ストーンズの1960年代半ばの楽曲ばかり・・・「Have You Seen Your Mother Baby,Standing In The Shadow?(マザー・イン・ザ・シャドウ)」に始まり「19th Nervous Breakdown(19回目の神経衰弱)」「The Last Time(ザ・ラスト・タイム)」「Play With Fire(プレイ・ウィズ・ファイアー)」、そして「Mother's Little Helper(マザーズ・リトル・ヘルパー)」で終わるというものだった。

いずれも、前回Stoned Days(ストーンした日々).IVで述懐したように、故郷の街の大店書店『ひさや』で立読みしていた『平凡パンチ』の、まるでR.ストーンズ・ネガティヴ・キャンペーンの如き記事に登場していた曲ばかりである。

“ビートルズの新しい曲はあまり面白くない”というミック・ジャガーの尊大すぎる発言にカチンときたビートルズ・ファンというよりポール・マッカートニー信奉者のような記者や業界人が、ことさらミックの大口が、黒人発音とコックニー訛りを強調した歌い方で、お世辞にもメロディアスとは言えない雑音(?)で描く楽曲を攻撃したのだろうと、今にして思う。