音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

そしてオッケー! O.K! また、O.K! (ソウル・トゥ・ソウル : SOULⅡSOUL)

2011.01.01

ソウル・トゥ・ソウル (SOULⅡSOUL)のイメージ1Left

(前回より続く)

 ジプシー・キングスの、ロイヤル・アルバート・ホールでの英国初公演が、あまりに強烈だったものだから、僕の胸は、いつもとちょっと違った高揚をしていたのかもしれない。

コンサートが終わった後も、とてもブリティッシュ的なもの…つまり、ビートルズとかデュラン・デュランとかの歌が連想させる風景を求めていなくて、かといって、アメリカから入ってくるヒット・チャートを騒がしているロックやソウルが流れているカフェや軽食レストランのような場所も求めていなかった。

それで、わざわざ、あまり交通の便のあまり良くない下町Queen's Way(クイーンズ ウェイ)に向かったのだが、案の定、表通りに面しているレコード・ショップからは、上陸したばかりのジプシー・キングスのデビュー・アルバムが、がんがん流れていて、コンサートの余韻とは別の高揚感に襲われた。


そのレコード・ショップは、アメリカ資本のメガ・ストアでもなく、日本にも進出しているイギリスの大手チェーンいくつかの店でもない、いわばイギリス独自の独立系ミニ・チェーンの店で、レコードの価格もかなり安い。

ちょっと古いレコードやCDなら、ディスカウントばりの値段で、おまけに店員さんが商品知識豊富なので、以前、60年代初期の高校生時代にラジオでしか聴いた事がなかったイギリスのアーティストのレコードをかなり手に入れる事ができた。

17歳の頃、こんな店が近くにあったら、とうらやましくなったものだ。

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