音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Fame. その34

2018.11.18

 (前回から続く)

 The Notes of Museumの第2作目のアルバム『2nd Floor』を聴いて夏が過ぎていった2018年。

オン・タイムの社会の中の事件を目や耳で取材しながら、全く違う過去の風景や音や香りを夢想し、彼らの「La Vida」や「Ancient City」「花と画家」などを聴くのは楽しかった。

 外川智子(とがわ ともこ)とHiro-a-Keyが共作した「Brain Drug」は、アルバムの中で、少し色合いの異なる曲だが、タイトルが示すように、脳の色んなパーツを刺激する曲で、次々に異なるアーティストの異なる曲を聴きたくなる。

例えば、ある朝には、書上奈朋子(かきあげなほこ:ジ・エキセントリック・オペラ)の新作『Requiem(レクイエム)』の中の「ある晴れた日に」や「Daydream」、ある午後には、パット・メセニー・グループの「ついておいで(Are You Going With Me?)」、ある夜には、ルドヴィコ・エイナウディの「四大元素(Elements)」、ある真夜中には、ジミ・ヘンドリックスの「風の中のマリー(The Wind Cries Mary)」やローリング・ストーンズのアルバム『Flowers』('67年)全曲を聴きたくなったりして、大脳は、20世紀と21世紀を行き来する。

2nd Floor