Fame. その14
2016.11.08
肌寒い季節になると、ダッフル・コートを先ず思い出す。
元々、北欧の漁師さんの仕事用の防寒着だったオーヴァーコートらしいが、第二次世界大戦時に、イギリスの海軍が使用して、戦後、それが大量の古着として世界中に放出された為に、大人気のファッション着になったという。
頭を風から守る大きなフードと、すぐに脱ぎ着できるように、胸ボタンではなく、水上の浮(うき)を模したトルグで前を閉めるのが特徴だ。
そんな事、誰でも知っていると言われそうだが、1960年代の半ば、雑誌『平凡パンチ』が創刊され、その中で、都会のファッションのクリエイターや評論家たちが、冬のアイビー・ファッションの決め手、と論じたり説明したりするのを読むまで、僕はその存在を知らなかった。
それで、ダッフル・コートは、都会の象徴のひとつとして僕の中で育っていって、1967年に東京に出てきた時、まだ春には遠い季節だったので、渋谷の街中の古着屋で見かけたダッフルを真っ先に買った。
それが最初のダッフル・ショックである。
二番目のダッフル・ショックは、デヴィッド・ボウイの'77年のアルバム『ロウ/Low』のジャケットを見た時だった。
なんと、あのボウイがダッフル・コートを着ている!?
ジギー・スターダストの頃のきらびやかで宇宙的なファッションとメイクを知る人達は全て、少なからずショックを受けたと思う。