音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Fame. その13 [2/2]

 FM誌編集長の指示で、ボウイのアルバム『ダイアモンドの犬』('74年)をもじったつもりで“ダイアモンドの猫、地球に降りたつ”という記事を書き、渋谷クンにイラストとカットを描いてもらったが、全て猫眼のボウイの絵で、編集部各氏にも読者にも不評だった。

 ところが、その記事を見たSF専門誌『SFマガジン』の編集者から連絡があり「今、岡田さんという人が書いている連載“SF・オン・ザ・ロック”を、岡田さんが多忙で、誰かに引き継いでほしいと言ってるんですよ。あなた、どうですか?」と言う。

それで、ロックの中のSF感覚を語ろうと、ビートルズ末期のジョン・レノンの「アクロス・ザ・ユニヴァース」を様々な人がカヴァーしている話や、小説の中に出てくる「アクロス・ザ・ユニヴァース」の事などを書いたのだが、まったくうけなくて、連載引き継ぎは一回ぽっきりで終わった。

ロック喫茶で、時たま見かけた村上春樹氏に、渋谷クンの猫眼のモノ真似を見せて書いておいてもらえば良かった。

その渋谷クンも50代半ばで亡くなった。他の星で、ボウイの曲でも弾いているかもしれない。(次回へ続く)