音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

星色のカオス2 (デペッシュ・モード : Depeche Mode)

2011.06.11

(前回から続く)

 デペッシュ・モードの音楽は、ポスト・パンクやニュー・ウェイヴの波の直後の1980年代初めに現れたという事もあってか、混沌とした時代の中の、何かよく解らない音楽、として僕の目に写った。

ポップ・ミュージックというものは、クラシック・ミュージック程ではないが、意外に体系的で、例えば、黒人ブルースを好んで聴き、そのコピーを始め、しだいにオリジナリティに目覚め、新しい楽器や音響の手法を取り入れて、独自のブルース・ロックを生む、といった体系的プロセスが割とよく見えるものなのだ。


しかし、デペッシュ・モードの場合、特に、ほとんどの楽曲を作詞作曲しているメインマンのマーティン・リー・ゴアの場合、いったい彼がどんな音楽を好み、どんな先達のレコードを聴いてきたのか、さっぱり判らなかった。

常に尖端をいく電子音をサウンドの柱にしたグループだから、その音楽のルーツや発想がエレクトロニクスのカーテンに隠されてしまっているのかとも考えた事があったが、そんな単純な事ではなかったと思う。