音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

星色のカオス1 (デペッシュ・モード : Depeche Mode)

2011.06.01

 Depeche Mode(デペッシュ・モード)というグループ名を初めて知ったのは1982年の半ばの頃 … NHK-FMの『クロスオーバー・イレブン』という番組へのリスナーの方からの葉書によってであった。

選曲を担当するようになってまだ2年目位の時だったのだが、その方によると 「マニアックさが足りない。東京FMの深夜の番組『トランスミッション・バリケード』の選曲に、正直言って、敗けている。あっちでは、いち早く、デペッシュ・モードの曲をかけているよ」 という事だ。

確かに、ジャズ=クロスオーバー、ソウル・ミュージック、ポップスに少しこだわって、自分の個性を出すことに執着し、迷いもあった時期だったから、そのご指摘は、とても気になり、あまりまじめに聴いていなかったデペッシュ・モードの『Speak&Spell(ニュー・ライフ)』『A Broken Frame(ア・ブロークン・フレイム)』等を聴く事にした。

デペッシュ・モードのイメージ1

最初の印象は、デヴィッド・ボウイが、ドイツのタンジェリン・ドリームのサウンド等に憧れ、思い切りエレクトロニックでダークなサウンドを作り出したアルバム『LOW(ロウ)』(1977年)を、もっと若い世代のバンドが、パンク/ニュー・ウェイヴを通り過ぎた感覚を加味してやっている、という感じで、本来ならあまり好みのサウンドではないなあ、と思いつつ、妙に惹かれるものを感じたのは、どうしてだろう?

今でも明快には解らないままだ。