音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

星色のカオス1 (デペッシュ・モード : Depeche Mode) [2/3]

 因みに、僕が、勝手にライバル番組と決めつけて、よく聴いていた番組『トランスミッション・バリケード』では、確かにデペッシュ・モードの曲はよくセレクトされていて、そこでは、あまり名前を聴いた事がないヨーロッパの、シンセサイザーを多用するテクノ/ニュー・ウェイヴのアーティスト達の曲と併せて流れていた。

デペッシュ・モードのイメージ2
デペッシュ・モードのイメージ3

僕は、敢えて、デヴィッド・ボウイや、『LOW』のプロデューサー、ブライアン・イーノ、そして、かつてプログレッシヴ・ロックと呼ばれていたタンジェリン・ドリームやピンク・フロイド、ジャズの領域に入れられているウェザー・リポートやアート・アンサンブル・オブ・シカゴといったアーティストの曲とともにデペッシュ・モードをかける … 簡単に言えば、デペッシュ・モードを、強引に、オールド・ウェイヴの中に投入してしまう選曲であり聴き方を通した。

これは、多分、彼らの電子楽器の使い方があまりテクニカルではなく、電子音の特色で売る…例えば、日本のY.M.O.等の音楽とは全く異なるものだという直感的な印象を僕が持っていたから、そのせいだろう。

デヴィッド・ガーン(David Gahan)の、よく通るスロート・ヴォイス(喉声)のバリトン・ヴォーカルが、歌詞をくっきりと浮かび上がらせる点も魅力的で、デヴィッド・ボウイやブライアン・フェリーに通じるものも感じたし、シンセサイザーの音よりヴォーカルの“暗いトーンの中の彩やかな色彩”のようなものに強く惹かれていたのだ。

デペッシュ・モードのイメージ4