音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

ブルーにこんがらがって3 :WHAM (ワム)

2013.05.25

(前回から続く)



WHAM(ワム)が、本国イギリスでデビューしたのは1982年。

ワム・ラップ」や「クラブ・トロピカーナ」「ヤング・ガンズ」「ウキウキ・ウエイク・ミー・アップ」等が次々にヒットして、イギリスらしからぬヤング・ハッピー・サウンドを世界中でヒットさせた。

 モータウン・ソウルの重鎮スモーキン・ロビンソン&ザ・ミラクルズの「ラヴ・マシーン」をカヴァーしていた事もあって、彼らの'83年のデビュー・アルバム『ファンタスティック・ワム』のライナー・ノーツを書くひとりに選ばれたりしたのも何かの縁だったのだろう。

'86年の夏に、取材でニューヨークに行った時、レコーディング・スタジオの隣のコーヒー・ショップで、偶然、ジョージ・マイケルと出くわし、少し言葉を交わした事もある。

WAS(Not WAS)のほとんど知られてもいなかった曲を歌い、それをWHAMとしての最後のシングル盤にし、「哀愁のメキシコ」という日本タイトルでかなり有名な曲にするような事件がそのすぐ後に起こる事を予知していたなら、「どうしてあんな有名でもない曲を歌ったの?」と、その時一言尋ねたのに…と悔やまれる。