音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Steely Dan (スティーリー・ダン)

Gaucho (ガウチョ)

(MCA:MVCM-21021)

Gaucho - スティーリー・ダン

 連載本文でも触れたが、南米の音楽や文化に触発されたアダルト・オリエンティッド・ロックを、スケールの大きなサウンドで完成させた感のする1980年のアルバム。

「ヘイ・ナインティーン」「バビロン・シスターズ」「サード・ワールド・マン」などは円熟の極み。

この後、ドナルドとウォルターはコンビを休止して別々に活動。

20年間、スティーリー・ダンは、解散状態に入った。

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Aja (彩 (エイジャ))

(MCA MVCZ-10077)

Aja (Remastered) - スティーリー・ダン

 モデル山口小夜子の姿を幻想的に撮った藤井秀樹のジャケット写真も有名な'77年の名作。

各曲に合った超一流セッション・マンを厳選して配した念入りなレコーディングは、ロックの概念をはるかに超えた高度なレベルの音楽を生んでいて、ジャズやクロスオーヴァーのシーンにまでショックを与えた。

ウェイン・ショーター(ウェザー・リポート)のサックス・ソロが客演するタイトル曲「彩」を始め、「ディーコン・ブルース」「麗しのペグ」など、ロック、ジャズ、ソウルをまたぐアダルト・ミュージックの逸品が並ぶ70年代屈指の名作アルバム。

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The Royal Scam (幻想の摩天楼)

(MCA MVCZ-10076)

The Royal Scam - スティーリー・ダン

 もともと、普通のロック・バンドの形態をとっていたスティーリー・ダンが、ドナルド・フェイゲン(キーボード、ヴォーカル)とウォルター・ベッカー(ベース、ギター、ヴォーカル)の二人の作る楽曲に、不変のプロデューサー、ゲイリー・カッツのアイデアを加え、その表現の最高のものを得るために、楽曲に合ったセッション・マンを集めてレコーディングする…という70年代半ばでは珍しい発想と方法を本格的にとり始めたのはこのアルバムがきっかけ。

ストーリー性と高度なレベルの演奏を持つ力作で、1976年夏の発表時、個人的には、ビートルズの『サージャント・ペパーズ』以来のショックを受けた。

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The Nightfly (ナイトフライ)

(WARNER WPCR-75172)

Donald Jay Fagen(ドナルド・フェイゲン)

The Nightfly - Donald Fagen

 『ガウチョ』発表後、活動を休止していたスティーリー・ダンだが、コンビの片方ドナルドが'82年にこのソロ・アルバムを発表。

60年代初期のイースト・コーストの小都市の架空のFM曲を舞台にしたコンセプトは、都会派のR&Bとワールド・ミュージックをノスタルジックに再現したものだった。

ドナルドと同じ1948年生まれで、ラジオ好きの身にとっては、特別味わい深い作品だった。

スティーリー・ダン・ミュージックの原点を描いているのはもちろんだ。

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