音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

存在の耐えられない重さ6 :Superheavy (デイヴ・スチュワート 後編) [2/3]

 そうして観察してみると、ロック的、というより、相当情緒不安定気味で、錯乱や病に左右されそうなシェイキー(Shakey)、つまり落ち着かない男に見えるし、実際、そうなのかもしれない。

だが、ネガティヴな要素も糧(かて)にしてしまうのは音楽を創る人の常で、それが無ければ、アマデウス・モーツアルトの生涯がスリリングな映画になったりはしない。


ロックやポップスには、より破天荒な資質が求められるイメージがあるが、実は、近年特に、そうでもない。

表面的に、破天荒な衣を着てはいても、実はとても健康的で規則正しい生活を営む人は数多い。


デイヴがいまだ憧れてやまない故ジミ・ヘンドリックスやドアーズの故ジム・モリソン、故ジャニス・ジョップリンのような常識からはずれた生活感覚は、既に“過ぎし日のロックの、ちょっとウザい迷惑な看板”と、心の中では思っている通称ロッカーがほとんどだろう。