存在の耐えられない重さ6 :Superheavy (デイヴ・スチュワート 中編) [3/3]
そんな訳で、デイヴ・スチュワートが作ったり関わったりする音楽の一番の魅力は、規律や常識から逸脱してしまっている風情が常に漂っている点と、だからといって、奇をてらった実験的音楽に走らず、常識人が常識的に楽しめるポピュラー・ミュージックの歴史をひもとくような親しみ易さをも持っている点だ。
確かに、稀有な存在である。
彼の、インタビュー中の話で、ジミ・ヘンドリックス体験以上に面白かったのは、「12歳の時に起こした膝の骨折事故で一年近くも入院を強いられ、脚は動かせないが手は動くから、それで得られる楽しみを見つけようと、ギターの練習を始めた」、という話。
それ以外にも、21歳の時、やっとモノになるバンドを結成したのにメンバーに逃げられ、そのショックからドラッグに溺れ、肺を痛めて長期入院を余儀なくされた話も興味深かった。
この時、病床で、様々な音楽を聴き、ロックとギターにしか関心がなかったのに、クラシック音楽や知らなかった楽器にも目を向けるようになったという。
それが無ければ、ユーリズミックスで成功した後に「(アイ・ラヴ・トゥ・リッスン・トゥ)ベートーベン」なんていう不思議な、だが、とても魅力ある曲も生まれ得なかっただろう。
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実は、体調を崩して寝ている時、とても音楽を聴く気分じゃないが、雑誌のレビュー原稿のしめ切りがせまっていてユーリズミックスの最初のヒット「 スウィート・ドリームス この男は…ひょっとしたら相棒のアニー・レノックスも、病(やまい)の状態を楽しむ術(すべ)を知っている…あまり丈夫ではない僕のカンがその時珍しく鋭敏に働いてくれたのである。 |