音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

存在の耐えられない重さ1 :Superheavy (スーパーヘヴィ) [2/3]

 2011年の春先から、ミック・ジャガーが、趣味的なレゲエ・バンドを、ローリング・ストーンズとは別に組んで、デイヴ・スチュワートとともにレコーディングの準備をしているらしいという噂は耳にしていた。

まぁ、一回限りの、お遊び的なプロジェクトだろう、と想像していたら…秋になって、グループ名と同名のアルバム『Superheavy』が現われ、これを聴いて、かなり驚いた。

 先ず、年齢とか格とかに関係なく、全員が同等に作曲共作し、歌もプレイもアレンジも、誰がリーダーシップをとるという事もなく、自然に誰かが歌い、自然にリレーしていく。

 では、バンドをやり始めた当初に、よくありがちな、メンバーだけが楽しいが、聴いている方はたまらない、だらだらしたお友達ジャム・セッションが続いているのかというと、そうではない。

何か楽しい事を、既成の事にとらわれないでやってみよう、というバンド結成の動機とともに、アメリカ産のブルースやR&Bに多大な影響を受けながらも、俺達にはこのオリジナル性があるというレゲエやインド音楽へのプライドが真剣に発揮された英国圏の精鋭たちの気持ちが全曲に漂っている。


Superheavy Image

Superheavyというこのバンドが、果たしてこの先続くのか、続くとしても、どういう活動をしていくのか、全く不明だが、とにかく、世代も人種も、それぞれの暇ではない状況も超えて、ひとつのバンドでソリッドな音楽を創ろうという気迫が全員から発されている事にはショックを超えたショックを感じてしまった。