音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

存在の耐えられない重さ5 :Superheavy (ダミアン・マーリー) [3/3]

 僕は、いまだに、ダミアンの父ボブ・マーリーとウェイラーズの名曲「」が大好きで、人種差別に徹底抗戦したあのプロテスト・ソングが、27歳の映画監督にして俳優のマチュー・カソヴィッツの力作『』(1996年)のイントロの実写フィルムの場面に流れた時、

花の都パリへの印象が一変するとともに、ボブ・マーリーは、そして、レゲエ・ミュージックは凄い!と確信した奴であり、また、そういう世代に属する奴だ。

憎しみ(La Haine)

ディスタント・リラティヴス
(As We Enter収録)



Welcome to Jamrock
(Road To Zion収録)

だからといって、末息子ダミアンに、全く同じものを求めたりはしない。

ダミアンは、ブルース世代の不満を解消するプロテスト・ロッカーではもちろんないが、明らかに、現代の世界に乱在している悩みや問題を告げる鋭いライム(詞)を発するレゲエ・ラッパーである。

もし、フランスの若き鬼才カソヴィッツ監督が、新しい『憎しみ(La Haine)』を撮ったなら、イントロで、ヒップホップ界の精鋭NAS(ナズ)とダミアン・マーリーが共演した「」か「」を使ってほしいなぁ、と思っている。



(次回へ続く ~ デイヴ・スチュワート)