音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Stoned Days(ストーンした日々).Ⅲ :The Rolling Stones (ザ・ローリング・ストーンズ)

2014.02.25

(前回から続く)

 1964年、16歳になったばかりの師走12月の夜に聴いたローリング・ストーンズの「テル・ミー(Tell Me)」は、長らく尾を引く楽曲になった。

ストーンズが、その後のライヴ・パフォーマンスの中で、この曲をレパートリーに選ぶという事も無く、映画やドラマのサウンドトラックに選曲される事も無いので、普通に考えれば、忘れられた日本デビュー曲になるはずなのに、この曲を忘れられない人は、僕以外にも少なくない。

 一例を挙げよう。

 1980年に、初期のストーンズが契約在籍していたイギリスのDECCA(デッカ)レコーズ等のカタログを有するLONDON(ロンドン)レコーズという会社が日本で設立され、それから数年、ストーンズの懐かしいアルバムを再発売していた。

余談だが、DECCAは'29年の設立という老舗で、それから近年まで、クラシック音楽の名門中の名門という名声を欲しいままにしている。

アナログLPの時代では、このDECCAというロゴマークがレコード盤の真ん中に無ければ、録音その他の品質が信用されないという大ブランドだった。

 このDECCAは、'62年に、ビートルズをオーディションで落とすという、後年、ビートルズがわざわざ『DECCAオーディションズ』というアルバムを発売するような判断ミス事件を起こし、ロック・ファンにも有名になってしまったが、長い間、クラシックの専門レーベルの印象が強かった。