音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Sheet Music. その6 [2/3]

 そんな時に、ジョー・コッカー(Joe Cocker)のブレーンとして映画の中に登場したレオン・ラッセル(Leon Russel)が万年筆で、ホーン・セクションなどのアレンジの譜面やメモを書いているシーン・・・これには本当に驚いた。

レオンは、既にロスアンジェルスに移って音楽活動をしていたが、もともとオクラホマ州タルサの生まれで('42年)、牧場が豊富にある事では有名なオクラホマの男を連想させるように、いつもテンガロン・ハットを長髪の上に乗せ、カウボーイ・ブーツをどんなパンツにも合わせてピアノのペダルを踏んでいたのである。

その後、アメリカの南部のロックが有名になるが、まだイギリスを中心とするヨーロッパのロック全盛の時に、そのサザーン・カウボーイ・スタイルは珍しいものだった。

だが、そのカウボーイが、万年筆で、ホーンやストリングスの編曲を書いている・・・これが、例えば、イギリスのトラフィック(Traffic)のリーダー、スティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)が、ピアノやオルガンの上の五線紙に音符を書きこんでいても、そんなに驚きのシーンにはならなかっただろう。