音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

太陽の戦士たち.(その3) [3/3]

だが、本国アメリカでは、「宇宙のファンタジー」は、R&Bチャート最高位12位、ポップ・チャート最高位32位。

まずまずの成績だが、EW&Fの実績総体から観ると、まぁ中ヒット、である。

それに比べて、非常にファンキーでブラックな「Serpentine Fire(太陽の戦士)」は、R&Bチャート1位、ポップ・チャート12位。

はるかに大きなヒットになっていて、アルバム『太陽神』の顔として記録されている資料まである。

長岡秀星も、全米第一弾シングルとして、一足先に仕上げが終わっていた「太陽の戦士」を聴き、あの金色のピラミッドやスフィンクスの絵柄を発想したと生前語っている。

アルバムの編曲ブレーンとして参加していたブラジリアン・フュージョンの巨匠エウミール・デオダートに'85年にインタビューした時、EW&Fの『太陽神』の記憶について尋ねたところ、真っ先に「太陽の戦士」という曲の見事さについて熱弁をふるわれた。

「宇宙のファンタジー」については“うん、あれもメロディアスでいい曲だね”とあっさりした答で終わり。

アメリカと日本との間にある宇宙観、歴史観、はたまた気候や食物の差異まで感じてしまったと言うと大げさだろうか?

40年程前のポップスの好みの差の話・・・しかし、その差は、これ程地球の情報網が発達した今、ますます大きくなっているように感じられてならない。