音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

太陽の戦士たち.(その3) [2/3]

 先日、選曲を担当しているFM番組で、少し懐メロ的な楽曲が欲しいシーンがあったので、『太陽神』から生まれた大ヒット曲「Fantasy(宇宙のファンタジー)」を選んだ。

スタジオで久しぶりに聴くと、フィリップ・ベイリーの美しいファルセットのリード・ヴォーカルも、コーラスも、パーカッシヴなリズム・ワークも素晴らしく、永遠の名曲と改めて痛感した。

日本では、ちょうど始まりつつあったディスコ・フィーヴァー・ブームに乗り、新宿のディスコの常連が考案した“ファンタジー・ステップ”があっという間に全国に広がり、先ずディスコのイケてる曲として認められ、それからラジオや有線に浸透していった。

ミーとケイのピンク・レディーが、後楽園球場で解散コンサートをやった時、この曲をレパートリーに選んでいたので驚いた人も多かったが、歌謡曲の領域にまで侵入する大ヒットになっていた訳で、もしあの曲が無かったら、EW&Fの名前も、それ程大きなものにはならなかっただろう。