音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Night In Tunisia(チュニジアの夜)(その3)

2015.06.09

 皆既月食・・・TVや新聞が教えてくれた内容によると、満月が地球の影に隠れて、赤銅色に鈍い光を発する状態。

これが、今年2015年4月4日の日本列島であった。

僕の浅学では知る由もないが、3年から4年のインターバルで起こる事らしく、カメラが得意な知人達は、そのつど映像に収めて保存していたりする。

僕はそこまでのマニアでもなんでもないが、月と太陽と地球の関係に変調があると、多分古代人もそうだったように、身体と感覚に何らかの変調があると思い、そのつど夜空を見上げて見えづらい月を探し、その時脳の中で鳴る音楽の事を確かめたりする。

ディジー・ガレスピーの「チュニジアの夜」は古くからの常連だったが、デヴィッド・ボウイの出世作『ジギー・スターダスト(Ziggy Stardust)』('72年)の中の「Moonage Daydream(月世界の白昼夢)」とか、キング・クリムゾンの「スターレス(Starless)」といった、少し妖しい懐しいロックの曲を思い出す事も多かった。

近年は、もっぱら、そのものずばりのコンセプト・アルバムで、いささかミーハーで恥ずかしいが、サラ・ブライトマンの『ラ・ルーナ(La Luna)』(2000年)をよく思い出し、久しぶりという気持ちで全篇を聴き直し、新しい発見を得る事も少なくなかった。