音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

ジョージのRellowな世界 ③ :George Harrison (ジョージ・ハリスン) [2/3]


幾つかの大宗教が生まれたインドの大地や風土は、精神世界を探究したいと感じた人の聖地で、'60年代末からしばらくの横尾忠則のアートワーク作品に限らず、ローリング・ストーンズのミックやキース、エルトン・ジョンといったイギリスのロックの巨星たち、ギリシャのヴァンゲリス、最近では、エニグマのマイケル・クレトゥ等、その時代その時代の一歩進んだミュージシャンに、明らかにインド哲学を感じさせられる事は多かった。

ロックやポップスは大衆娯楽音楽そのものだけれど、自分の精神世界探究の産物でもあって、ジョージは、'60年代末にそれを実践した最初の著名なロック/ポップス・ミュージシャンだったのかもしれない。


 『コンプリート・ワークス』を読んでいると、ミックやキース、ボブ・ディランら大物ミュージシャンが、この人達こんなに謙虚で真面目な人達だったっけ、と驚く調子で、ジョージのその探究の深さや音楽観、誰とでもすぐに親しくなれる温和な人間性を絶賛していて、少し眉ツバモノと気持ち悪くなる程だ。