Fame. その25 [2/2]
それはともかく、ボウイが、当時まだそれ程有名ではなかったサックス奏者デウィッド・サンボーンの名前や、白人なのに、'60年代末から“最も黒人らしく黒人の生活をロックして歌う”と言われたスライ&ザ・ファミリー・ストーンのドラマーだったアンディ・ニューマークの名前をメモっていた、というジュリアンの証言は強烈だった。
ダイアモンド・ドッグス/ソウル・ツアーは、ツアー開始の頃は、ダイアモンドの犬に扮したボウイが激しく演じる演劇的ロック・ショーだったのに、ツアーの途中から、クリスチャン・ディオールのスーツを纏ったボウイが、周りのダンサーを踊らせながら、エディ・フロイドのR&Bの名曲「ノック・オン・ウッド」を始め、これはまた異なった意味で華麗なソウル/ディスコ曲を歌いまくるショーに変わってしまった事で有名である。
日本の演歌歌手の、前半と後半でがらりと変わるショーなら珍しくないが、コンサート・ツアーの最中に、当初のショー構成も内容もがらりと変えてしまうなんて事はボウイにしか出来ないだろう。
それを記録したアルバム『Live!』や、そのビデオ作品を観て、かなりの数のボウイ・ファンは、戸惑いを通り越して、怒り出した。
だが、ボウイの頭の中には、既にソウルフルな次作『ヤング・アメリカンズ』があり、その構想を抑制出来なくなっていたのだろう。
ペンを止めて、そんな事を想像してボーッとしていたら、ジュリアンが言った。「おい、リトル・ヘルパーが要るか?」(この話更に次回も続く)