音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

星色のカオス3 (デペッシュ・モード : Depeche Mode) [3/3]

頭の中だけで鳴っているその音のループは、白と黒だけでほのかに連結部が滲んでいる色あいの虹のようで、黒白の虹(こくばゃくのにじ)というものがあるとしたら、その時に鳴っている音楽がこういうものか…

いずれにしろ、映画館である映画をある程度熱心に観ている最中に、まったく別の映像や音楽が触発されたように頭の中に浮かぶ、そして、その浮かんだものが、直接的にはなんの関係もないものなのに、互いの本質をついている…という体験は、幼ない時からよくあった。

そして、頭の中でふっと浮かび、突然鳴り出す音楽は、当然好きなものであり、あるいは、好きなのに気づいていなかったものだ。

 デペッシュ・モードは、チャイコフスキーにもショパンにもビゼーにも似ていない。

だが、22世紀のどこかでバレエが上演されている時、バレエ音楽の古典として、ごく普通に鳴っているかもしれない。

それを観てみたい。