音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

ブルーにこんがらがって1 :Don Was (ドン・ウォズ) [2/3]

 話がさらに錯乱してしまうが、その新社長ドン・ウォズは、近年のボブ・ディランのレコーディング・プロデューサーであり、ディランだけに留まらず、ローリング・ストーンズ、イギー・ポップ、ボニー・レィット、エルトン・ジョン、リンゴ・スター、ブライアン・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ)といったロック界の大物から、ウィリー・ネルソン、ガース・ブルックス、クリス・クリストファーソンらカントリー&ウエスタンの重鎮達もプロデュースしてきた1990年代アメリカのトップ・プロデューサーだ。

テルマ&ルイーズ』『レインメーカー』『ハネムーン・イン・ベガス』といった味のある映画の音楽監督/コンサルタントも務めていて、まさに90年代のアメリカの芸能を支えた伝統的にして革新的なトップ・プロデューサーとして知られている。

 だけど…だけど、とくり返したくなる僕の脳だが…彼の多彩なアメリカン・ロックやカントリーの知識やプロデュース能力を感じ取った事は何度もあったものの、ジャズのセンス、特に歴史あるBlue Noteレーベルのジャズのサウンドを連想するセンスを感じた事は一度も無い。

ディランやストーンズやウィリー・ネルソンに新しい風を吹き込んだ才人だが、まさか、あのBlue Noteのこれからの企画や運営のトップの座に就こうとは…そんな事、誰が想像しただろうか?

テルマ&ルイーズ

レインメーカー

ウィリー・ネルソン

ガース・ブルックス