音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

ブルーにこんがらがって1 :Don Was (ドン・ウォズ)

2013.03.04

ボブ・ディランの1974年の秀曲に「ブルーにこんがらがって / Tangled Up In Blue」という作品があったが、様々な思いや光景が錯綜して脳が混乱し、それらが青い色彩の、こんがらがった糸のようなものになる、という不思議な映像心理描写の曲。


'74年は、音楽評論家人生を始めた年だったので、その年にピンときた楽曲は特に印象深く記憶しているのかもしれない。

だけど、六本木の防衛庁の広大な跡地(あとち)が180度華麗に変身再開発された東京ミッドタウン上階のジャズ・クラブに向かうエレベーターの中で、まさか「ブルーにこんがらがって」を思い浮かべるとは思ってもみなかった。

単純に考えれば、その2月15日午後(2013年)、ミッドタウンの中にあるライヴ・クラブ“ビルボード東京”で、もうすぐ75周年を迎えるジャズの老舗レーベルBlue Note(ブルーノート)のコンベンションが行われるので、ブルーのロゴマークとブルーという色彩が、その朝からずっと頭の中を彷徨していたという単細胞心理だ。

そして、そのコンベンションの告知を見た時、現在、老舗レーベルBlue Noteの社長の座に居るのがドン・ウォズ(Don Was)であり、そのドン・ウォズがコンベンションに出席するとあって、二重三重の驚きに襲われ、結果、脳の中のブルーがこんがらがってしまったのだろう。