音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Sarah Brightman(サラ・ブライトマン)

Harem (ハレム)

(EMI TOCP-67100、TOCP-67270/NVD-1019)

 『ラ・ルーナ』から3年ぶりのオリジナル・コンセプト・アルバム。

中東地域からエジプトへかけてのエッセンスを取り入れたエキゾチシズムあふれる音楽で、新たな領域に踏み入った快作。

 ポルトガルのファドのヒット曲「海の歌」を中東風にアレンジしたタイトル曲「ハレム」を始め、プッチーニの「ある晴れた日に」を下地にした「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」、トリップ・ホップのマンダレイの代表曲を取り上げた「ビューティフル」等、選曲は多様多彩。

 しかし、中東/アフリカのパーカッション、巧みなデジタル・プログラミング、プラハのシンフォニーによるストリングス等を組み合わせて、現代の『アラビアのロレンス』の架空のサウンドトラックのように仕上げる創作力は抜群だ。

サラの代表作というより2000年代ポップスの代表作として長く記憶されることだろう。

スペシャル盤には、録音風景やサラへのインタビューを収録したDVDが附いている。

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Live From Las Vegas (ハレム・ワールド・ツアー)

(EMI TOCP-67470)

 アルバム『ハレム』に焦点を合わせ、2004年にスタートしたワールド・ツアー。

スタート時のハイライトであるラスヴェカス公演で収録されたライヴ・アルバム。

新旧の曲を巧みに配列した構成が見事だが、「ア・クエスチョン・オブ・オナー」等、ライヴで特色を増す曲が記録されたのは、ここで初めての事である。

 唯一のスタジオ録音未発表曲として、フランスのインドネシア系アーティスト、アングン(Anggun)の隠れたる名曲「スノウ・オン・ザ・サハラ」を収録。

『ハレム』の序曲に予定されていたが、許可が間に合わず未収録だったインドの作曲家マイケル・ダナの「カーマ・ストラ」も収録。いずれも貴重だ。

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Diva ~ The Single Collection (輝けるディーヴァ ~ ベスト・オブ・サラ・ブライトマン)

(EMI TOCP-70120、TOBW-3310)

 2006年秋の、初の本格的ベスト・アルバム。

 ロンドン・ミュージカルの新星で、まだ作曲家/演出作家アンドリュー・ロイド・ウェバー夫人だった頃の代表作「オペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)」に始まり、ソロ・アーティストとして最初の成功作と言える「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」に至るシングル・ヒットを、レーベルの壁を超えて初めてまとめたベスト盤。

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In Concert (イン・コンサート ~ タイム・トゥ・セイ・グッバイ)

(ワーナー・ミュージック WPZR-30304 ~5)

「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」が世界的なヒット曲となり、脚光を浴び始めた'97年9月のロンドンでの公演を収録したライヴCDとDVDのカップリング。

日本では、2008年秋に初めて発売された。

 オリジナル・アーティストで、イタリアの美声、と人気も高いアンドレア・ボチェリとデュエットする「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」や、別れた夫アンドリュー・ロイド・ウェバーが弾くピアノの上に座って歌うロンドン・ミュージカルのウェバー作品の数々等、今ではもう実現不可能な共演シーンも数多い。

その後の成功が無かったらオクラ入りのままだったであろう、それにしては、素晴らしいライヴ作品。

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アマルフィ~サラ・ブライトマン・ラヴ・ソングス

(EMI TOCP-70770)

 映画『アマルフィ.女神の報酬』主題歌に使われた「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」(ソロ・ヴァージョン)を中心に、これまでのラブ・ソングの名トラックを集めたベスト盤。

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