音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Sarah Brightman(サラ・ブライトマン)

Dreamchaser(夢追人)

(EMI TOCP-71500)

初めてプロデューサーをチェンジしてのターニング・ポイントの新作

英国ロックの大ベテラン・プロデューサー、マイク・ヘッジスの音楽知識の広さとエンジニアリングの伝統美も光る。

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Symphony (神々のシンフォニー)

(EMI TOCP-70470)

 2008年初頭に発表された。

中世の音楽形式ゴシックのアイデアが随所に盛り込まれたシンフォニック・ロック的なサウンドで、「嘆きの天使(フルール・デュ・マル)」を始め、ドイツのロック・グループ、シルベルモンドのヒット曲を取り上げたタイトル曲「シンフォニー」、KISSのポール・スタンレーとデュエットした「ビー・ウィズ・ユー」等、アイデアに満ちたスケールの大きな先端をいくクラシカル・クロスオーヴァー・ポップスの新生面を開拓している。

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La Luna (ラ・ルーナ)

(EMI TOCP-65467)

 2000年秋のオリジナル・アルバム。

EMI移籍後3作目にして、クラシック、ロック、オペラ、ポップス等にまたがるサラ独自のクロスオーヴァー・ミュージックを完成させた力作。

この時、ライナー執筆用に初めてインタビューをしたが、音楽や映像の知識が、予想以上に豊かな人だと知り、感心した。

 欧州盤未収録のボム・サ・ベース原曲「ウィンター・イン・ジュライ」やクレイグ・アームストロング原曲「ジス・ラヴ」といったトリップホップ/クラブ系の曲から、ベートーヴェンの交響曲第7番のメロディーを素材にした「フィリオ・ペルドゥート」等までを、「月」をテーマにしたコンセプトでまとめあげる力は並みのものではない。

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Fly (クエスチョン・オブ・オナー)

(EMI TOCP-67900)

 サラが'96年に発表したオリジナル・アルバム。

10年間、日本で未発売だったが、テレビ朝日系サッカー情報番組『やぺっちFC』のテーマ曲に使われ、日本盤タイトル曲「クエスチョン・オブ・オナー」はよく知られていた。

アルバム全体としては、これまでで最もロック色濃いもので、もしこの作品が発表時'96年に日本で発売されていたら、サラのクロスオーヴァー性も、もう少し早く知られていただろう。

 2006年になって、ようやく日本盤が登場した。

オペラ『ラ・ワリー』の中の「さようなら、ふるさとの家よ」を前後のテーマ曲にして、中間部をハイエナジー・ロックで綴る「クエスチョン・オブ・オナー」は、なんといってもハイライト曲だが、スウェーデンのヒット曲を取り上げた「マーダー・イン・メリーランド・パーク」あたりも見逃せない好曲。

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Classics (アヴェ・マリア~サラ・ブライトマン・クラシックス)

(EMI TOCP-65933)

 2001年に発表された文字通りのクラシカル・アレンジのレパートリー集。

シューベルトの「アヴェ・マリア」(新録)の名唱はまさに適役で、クラシック音楽を身近にする、というシーン全体の流行の良き見本になった。

それ以上に、既発表の曲、例えば「エニイタイム・エニイウェア(ライヴ)」「ラ・ルーナ」、プッチーニの歌劇曲「ネッスン・ドルマ(誰も寝てはならぬ)」「私のお父さん」等のよりクラシカルな新ヴァージョンが素晴らしい。

その時代その時代の解釈や表現法で、古いクラシック音楽が新しい音楽のようにアタック出来る事を証明したサラならではの企画だ。

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