音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

Santana (サンタナ)

サンタナⅢ

(SONY MHCP-999)

 '71年のサード・アルバム。

後にジャーニーのリーダーとして活躍するニール・ショーン(当時17歳)が加入し、カルロス・サンタナとのツイン・リード・ギターを形成。

ふたりのスリリングなギター・バトルと、更に強力化したパーカッション陣のくり出す多彩なリズムがからんで、聴いた事のない音世界の扉を開いてくれた。

LP時代、ひょっとしたら、一番回数を聴いたLPレコードがこれかもしれない。

僕は、'87年に、どのアルバムでもいいから選べ、とライナー執筆を依頼され、ためらいなくこれを選んだ。

ジャケットの表裏、背表紙等、どこにも、タイトルやグループ名の表記が無く、絵柄と中身の音でSANTANAとすぐ判るだろう、と言うかのような態度のでかさは、当時、衝撃的だった。

それ程、デビュー作『SANTANA』と第2作『天の守護神』が破格に売れて浸透していたのだ。

従って、『サンタナⅢ(スリー)』というタイトルは、あくまでも通称で便宜的なもので、なんと史上稀なタイトルの無いアルバム、というのが正式である。

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Inner Secrets (太陽の秘宝)

(SONY SICP-2875)

 '78年の、新しい路線を打ち出したアルバム。

60年代後半のダンヒル・サウンド(グラス・ルーツやスリー・ドッグ・ナイト等を手懸けた)を支えた名プロデュース・コンビ、デニス・ランバート&ブライアン・ポッターを、SANTANAが、プロデューサーに迎えるとは驚きだった。

高校生の頃、大好きだったクラシックスⅣ(フォー)の「ストーミー」のカヴァーが嬉しかった。

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Marathon(マラソン)

(SONY SICP-2876)

 70年代最後を飾る'79年のアルバム。

アラン・パスカ(キーボード)を始めメンバーを一新したニュー・サンタナ・バンドによるラテン/ジャズ/ハード&ブルース・ロック的な内容で、名作の誉高い4作目『キャラバンサライ』('72年)を彷彿させるものがあった。

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Zebop! (ジーバップ!)

(SONY SICP-2877)

 2枚のソロ・アルバムも発表してリフレッシュしたのか、バンド・サウンドに徹しながらもギター・ソロが生気に満ちていたアルバム。'81年の作品だ。

イギリスのシンガー&ソングライター、キャット・スティーヴンス'71年の「チェンジズ」、元アージェントのラス・バラードの「ウイニング」、キューバのブルース・マン、ワヒーラ・ソン・モントゥーノの「センシティヴ・ウーマン」等、異色の曲選びと高度なラテン複合ビートは、円熟そのものの味わいだった。

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Shango (シャンゴ)

(SONY SICP-2878)

 '82年のアルバム。

連載本文に書いたように、アフリカから南米他へ拡大していったリズムと躍動の音楽の現代形が見事に表現されている名作だ。

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