音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

1969.夏.冬 その後 ~ Pink Floyd  (ピンク・フロイド)[2/3]

 かといって、いくらロック喫茶に毎日通う常連だったとはいえ、レコード店にもほとんど置いていないピンク・フロイドをよく知っていた訳ではない。

しかし“桃色のフロイド博士”なるそのグループ名に、何か新しい潮流を感じていたのは事実。

だから、いまだに、バンドやグループやユニットの名前(ネーミング)に、必要以上に敏感で、ピンとくる名前のバンドだと、音を聴く前に応援したくなるという悪癖が続く。



 それはともかく、映画『MORE』は、カルト映画として観ても、中の下位の作品で、ストーリーはあやふやだし、編集も雑だし、結局、結末もよく解らない映画だ。

とにかく、ミムジー・ファーマーという米国人無名女優演じる米国本場のヒッピーが、ヘロインをうちまくり、欧州の純朴な青年を悪の道にひきずりこんだまま姿を消してしまう…という麻薬とロックとヒッピーの“悪”が主役の幻想的映像ラッシュのような作品。

とてもメジャー配給されて、大映画館で上映されるような代物ではない。

 ただ、イントロのやや暗いトーンのシーンに、出演者その他のクレジットが次々に入り、その内、Music By the PINK FLOYD、という文字だけ鮮やかなショッキング・ピンクの色でクレジットが投入された部分…これを、忘れる事ができないままでいる。