音楽評論家 大伴良則の音楽のまんよう

ジョージのRellowな世界 ② :George Harrison (ジョージ・ハリスン) [2/3]

 2001年の11月末、街中で買物をしていた僕の携帯電話に、番組プロデューサーから報せが入り「オートモさん、生放送だから、次の放送をジョージの追悼に変更してくれませんか? でも、番組のMCふたりはビートルズ世代ではないから、話を解り易くしてね」との急ぎの要求が入った瞬間、頭の中でその選曲もトークの内容も決まっていた。


“「オールナイト・ニッポン」で何時間もジョージを偲んで作品を全部かける訳じゃないんだから”と思い、自分よりはるかに若いMCふたりでも、下世話な三角関係を超えて音楽的親友を貫いたジョージとエリックのエピソードも伝えられるだろう、と放送現場のトークを想像してしまう自分が、少し悲しかった。





 30年以上も、音楽評論家や選曲家という職業をやっていると、そういうすれっからしで乾いた瞬時の反応もしてしまうのかもしれない。


それと同時に、1960年代の末、大学の友人が、アルバイトのギャラを前借りしてまで買った『ホワイト・アルバム』を、買ったその日に貸してくれたのに、「ホワイル・マイ・ギター・・・」のトラックだけすり切れる程何度も聴いてしまい、挙句の果て、“このバンド(ビートルズ)はもう駄目だ。ジョージは、次の世界に踏みこんでいる”などと、気のいいポール・マッカートニー・ファンのその友人が青ざめるような事を言ってしまった若き日の高慢な自分の思い出への反応もあった。